一番効く薬は看護師の声掛け!
新しい年が明け、また日常の生活が戻ってきた。
年末年始も外泊する患者さんは少なく、外出した患者さんも3人くらいだった。
それはやはり地域包括ケア病棟という、治療が終わってすぐに帰れない患者さんが退院の準備をするために急性期病棟から転棟してくる病棟なので、仕方ない事だろう。
特に高齢者が多く、例えばインフルエンザで4〜5日寝込んだだけでも、筋力が落ちて、トイレまで行けなくなってしまったり、認知症がすすんで、一人暮らしには戻れなくなってしまったり…
そんな患者さんに退院できるように、トイレ移動のリハビリをしたり、介護認定を受け、介護サービスを調整して、退院できる場所を探す、そんな役割を担う病棟なのだ。
そして、年末にやっと退院できた患者さんも、今日また食欲不振で再入院してきた。
やはり病院とご自宅は違うのだろう。
入院中は暖かい部屋で、栄養を考えた食事を食べ、リハビリをし、夜間はぐっすり眠る、という規則正しい生活がおくれるが、自宅ではなかなか同じようにはいかない。
ご家族も仕事があり手がまわらない。
また親の事を歳はとってもいつまでも自分で身の回りの事はできるし、元気でいる、と考えがちである。
現実と理想の間にはギャップがあるのだ!
退院して以前のように生活できると思い、介護が必要とは認めたくないご家族が多く、家に帰ればまたできるようになるだろうと思いがちだが、そううまくはいかない。
結局短期間で再入院となる患者さんも多い。
なにが違うのだろう。
栄養指導をして、介護指導もして、必要ならば吸引の手技も覚えて退院していくのに…
再入院後に聞くと
「退院してから一度も吸引していません」
と答える家族のなんと多いことか…
やはり患者さんの異常に気付いて早めに処置するという部分がどうしてもうまく指導できない。
あとは患者さんとの関わり。
なにより、入院中は毎日看護師に
「いかがですか?」
と声をかけてもらえる。
「お風呂に入りましょう」と誘ってもらえる。
また名前を呼ばれる。
話を聞いてもらえる。
でもたぶん自宅にではそんなに話す事もない。
他者との関わり、看護師の声掛け
それが一番の薬なんじゃないかなぁと思う。
かく言う私も寝たきりの母親の介護をしているが、話をするのはおむつ交換の時くらい。
一緒にご飯を食べることもない。
他人の事は言えないなぁと思った。