症例13 70代男性 肺がんが見つかってから
3/10のブログで癌が発見された3名の方のことを書いたが今日はその中のOさんの事を報告する。
70代の男性でご家族と一緒に暮らしていた。
長年頚髄症で足の痺れなどの症状があり、開業の整形外科に通っていた。頚髄症の精密検査のため整形外科に紹介され外来通院を始めたところだった。
「急に歩けなくなった」と言うことで、緊急で外科入院となった。
入院時の胸部CTには明らかに胸水と右肺には数カ所陰影が写っていた。
見るからに肺がんの所見であった。
それから精密検査をし、呼吸器内科のドクターにもコンサルティングした。病状はすすんでおり、手術・抗癌剤・ラジエーションは適応ではなく、緩和ケア方針となった。
ご家族とご本人も全く予期していない告知をしなければならない。
まず呼吸器内科の診察を受けもらい、翌日外科の主治医が告知することとなった。
その日は奥さんと長男さん2人で来院した。
奥さんは優しそうな方で息子さんも理解力のありそうなしっかりした方であった。
そしてお父さんの気持ちを心配して2日間とも面会許可を受け、お話ししていってくれた。
(今は新型コロナウイルスの感染防止のため面会禁止で特別に主治医の許可のある方だけ体調確認後面会できる)
そして、お家の準備ができたら退院する事になり、訪問看護をいれ、退院調整する事になった。
ご本人はしばらくはショックを受け、「もうこのまま退院しないで病院で良い🏥」との発言があったり、リハビリもなかなかすすまなかった。
しかし、10日ほどして、少し気持ちも落ち着いたのか急に「3/25に退院したい」と決めてきた。
希望に添えるように準備して、在宅酸素も導入となった。
退院の3日前から呼吸苦がでで少しずつ酸素の流量も増やしてきた。
退院時お嫁さんに酸素の取り扱い、流量の説明をしたが、特に不安がったりせず、受け入れ良く退院されていった。
訪問看護師には苦しくなったらいつでも地域包括ケア病棟に直入で良い旨話しておいた。
スタッフは数日で再入院になるだろうけど、帰れるときに退院できて良かったと思っていた。
その2日後
担当の訪問看護師から
「Oさんが亡くなりました」と連絡を受けた。
奥さんが朝起こしに行ったら亡くなっていたそうだ。
あまりに早く、急だった。
ご家族は「自宅に帰れて、孫たちとも話したり触れ合えて良かった」と言ってくださったそうだ。
やっぱりご自分の寿命ってなんとなく感じるのだろうか。
最後をご自宅で迎えられたと言うのは今時本当に珍しく、なかなか叶えられない事なのだ。
きっと良いおじいちゃん👴で良い関係のご家族だったのだろう。
ご冥福を祈ります。
そして訪問看護師にはぜひ訪問看護とのカンファレンスの時にスタッフに経過を報告してほしいと依頼した。
看護の振り返りになると思うので…