崖っぷち看護師長の孤独。。

もうすぐ還暦、看護師長のポロポロ雑記ブログです。

忘れられない患者さん達

症例 22 101歳 女性 乳がん 高齢者のオペ事情

先日101歳の乳がん患者が入院してきた。 翌日オペ予定である。 100歳越えでオペってどうなんだろう??なんて思っていたけれど、ご本人にお会いしたら、とてもしっかりされた方でとても101歳には見えない。小柄で丁寧な話し方をする方だった。 オペ前検査も…

症例20・21 胆管癌判明の70代男性2人

春先から何故か胆肝系の患者が増加している。 胆石発作からの胆管炎からの膵炎、膵臓癌まで原疾患は様々だが、緊急ERCPを実施して原因を探ったり、処置したり。。 本当に何例も行ってきた。 実際統計を見てみると胆道系の内視鏡は今年の4・5月は前年までの数…

症例 19 がん告知は突然に

60代男性 ずっと腰が痛かったが、急に両下肢に痺れがでて、また力が入らず立てなくなってしまった。 救急搬送され、整形外科入院となった。 椎間板ヘルニア疑いで翌日CTを撮ってみると、腰椎に数カ所骨破壊を伴う、転移ガンの像が見つかった。 既往には大腸…

症例18 83歳 女性 進行の早い大腸癌の潔い最期の時

なみさんは40代の頃急激な症状があり、入院、点滴などして体調を取り戻した。その時、難病である病名を告知された。 それから病気とともに生きる、長い通院生活が始まった。 高原で温泉旅館を夫とともに切り盛りしていて、季節によってはとても忙しい時期も…

症例 17 入院してわかった病気

最近入院してから重大な病気が分かった患者さんが2人いらっしゃって 貴重な体験をしたので報告する。 Sさん。80台女性 一時的な意識消失発作があり脳外科で緊急入院した。家族がいなくて施設で暮らしている。 聞いてみると最近数回意識がなくなる事があった…

症例 16 60台 男性プライド高いおじさんの逆ギレ

大さんは慢性心不全の悪化で入院してきた。 体格の良いおじさんである。 最近歩いたり動くと苦しくなっていたが我慢していたようだ。 奥さんがおっしゃるには 「おでこや背中が汗びっしょりになっているのに『病院行ったら』と言っても全く人の言う事を聞か…

症例15 70台女性 胆管癌の最後の日々

松さんは70台女性。 胆管癌があり、闘病してきた。 始めは黄疸で見つかった。 働き者の奥さんで旦那さんの方が少しヨボヨボしていた。 1年程前に内視鏡で胆嚢摘出術と胆汁が流れるようにステントを入れた。 それからは食欲も戻り、定期的に通院して、自宅で…

症例 14 70代男性 繰り返す誤嚥性肺炎

八さんは70代だが脳梗塞の後遺症で嚥下機能低下と失語症があり理解はできるが、発語がほとんど無かった。 食べる時も何度も何度も咀嚼し、唾液をダラダラ流しながら、それでも自力でゆ〜っくり2時間くらいかけて食べていた。 何回も誤嚥性肺炎を繰り返して入…

症例13 70代男性 肺がんが見つかってから

3/10のブログで癌が発見された3名の方のことを書いたが今日はその中のOさんの事を報告する。 70代の男性でご家族と一緒に暮らしていた。 長年頚髄症で足の痺れなどの症状があり、開業の整形外科に通っていた。頚髄症の精密検査のため整形外科に紹介され外来…

がん発見の現場

最近は国民全員健康志向が強く、ジム通いやジョギング・ヨガなどで健康を保とうと意識している方が多いと思う。 また人間ドックも勤務先や健康保険などから補助金もでて、ほとんどの人が受けていると思っていた。 最近我が病棟に入院して癌が発見され、初め…

症例 12 40代男性 精神科受診のすすめ

昨日意識消失発作で救急搬送された40代男性。 既往にアルコール依存症があり、昨年の暮れまで精神科に入院して治療をしていた。 2月始めからまたアルコールを飲むようになり、今回トイレ歩行後倒れていたそうだ。痙攣もしていたようだが、病院到着時は少し振…

症例11 67歳 男性 脳梗塞後遺症 寝たきり

Mさんはとても大柄な体重も60キロ以上あるような男性。 農家をしていただけあって身体もガッチリしている。 1年程前に脳梗塞を発症し、後遺症で寝たきりになって、発語も無く、こちらの言葉も理解できているのか不明である。 今回は施設から誤嚥性肺炎で入院…

精神症状の強い患者さんたち。

今病棟には病院というより、ほとんどここに住んでいるというような患者さんが2人いる。 どんな患者かというと、 1人は超天才。でもネジが一本外れている。 どんな暮らしをしてきたか知らないが、ずっと研究などしていたらしい。 お金も家もある。 ご家族は妹…

症例 10: 89歳 男性 認知症徘徊患者

田舎には各地区の連絡に有線放送や野外放送がある。 我が家の場合は有線テレビがあり、有線放送も流れる。 毎朝6:30からはゴミの回収についてやお悔やみの告知・農業関係の連絡などがはいる。 10年程前、内科病棟に勤めていた頃の話。 その日は隣町の行方不…

三途の河って本当にあるんだ

私が内科病棟のスタッフで働いていた今から10年前頃の思い出である。 高齢者の方々で軽い認知症がある患者さんはあまり自分の症状を表現できない。 賑やかに話していたのに次に行くと " 全く反応なし" などという事もたまにある。 そんな見つけにくい症状の…

ワニさんの最期のとき

1/13のブログに登場した" 日本酒" とテーブルに書いていたワニさんが急激に意識状態が悪くなり、いよいよ最後の時が近くなった。 こんなに早いとは思っていなかった。 そしてご家族もあまり面会に来ていないのでドクターからIC( 病状を説明して理解してもら…

退院したのにすぐ逆戻りの患者さん

マサ君は脳性小児麻痺で身障者施設に入っている。36歳だが、体はほとんど動かすことができずに、ずっと施設で過ごしている。 今は簡単な言葉は理解できそうで、うなづいたりして意思疎通を図っている。 食事は全介助が必要で、嚥下の力は弱く、水分はむせて…

日本酒が飲みたい患者さん

ワニさんは認知症のある男性患者さん。 1年ぶりに誤嚥性肺炎で入院してきた。 急性期病棟で抗生物質の点滴治療をして、退院調整のため地域包括ケア病棟に転棟してきた。 ベッドまで挨拶に行くと、1年前よりもだいぶ痩せて声をかけても反応せずウトウトしてい…

症例 9 74歳男性 わがまま透析患者の最期

Sさんは透析を始めて10年以上 74歳になる男性だ。 昔は透析をしても10年以内に亡くなる患者さんがほとんどだったが、近年透析技術も進歩し、10年以上たっても社会生活・仕事もできる人も多い。 でも一般的に透析患者さんはちょっと病院慣れしてるというか、…

症例 8 83歳 男性 肺癌で呼吸苦有りの認知症患者

舟さんは肺癌末期の患者さん。 呼吸が苦しく、食事も食べられずに入院してきた。 もともとちょっとわがまま頑固な人で奥さんもだいぶ手を焼いたようだ。 認知症も徐々にすすみ、いろいろ我慢ができなくなってきた。 点滴で補液し、リハビリも実施し、だいぶ…

ジャンセンのレプリカを贈ってくれた先輩ナースの思い出

今日はクリスマスイブである。 ちょうど雪も積もりホワイトクリスマスになった。 子供の頃は嬉しかった雪も大人になるとすぐに「仕事行くの大変だなぁ」と思ってしまう。 こんな寒い雪の日にはW先輩ナースのことを思い出す。 彼女とは私が35歳の頃 パートで…

症例7:50代 男性 日本刀で斬られて救急車 耳はくっつくのか?

新人の頃 耳鼻科外来に勤務していたので外来の当直制の救急当番があった。 その日は頼もしい大阪のおばちゃん風の副看護部長との当直だった。 真夜中 日本刀で背中と耳を横にスパッと切られたそっちの筋の人が運ばれてきた。 反社会勢力の組織が多い地区から…

骨折の痛みもなんのその…認知症の彼女

昨日の日直にて、 1時間近くかかる山の施設より電話連絡あり。 「腰が腫れていて痛がってるんですが診てもらえますか?」と 今日はちょうど整形外科のドクターがいる。 「大丈夫ですよ。どうぞ来てください。」 と答え日直の先生に報告した。 なんだろね? …

症例 6 66歳男性 脳梗塞発症 失語症あり

Tさんは一人暮らし ずっと仕事を世話してくれる人の家の離れに暮らしていた。 酪農とか鶏小屋の世話などをして生活していたらしい。 もう親族とか身寄りはだれもいなかった。 それでも体が丈夫ならなんとか生きてゆける。 しかし一旦病気など仕事ができなく…

昔出会った田中さんの思い出・・甲状腺癌

もう15〜16年前になる。 私が個人医院でパートで働いていたときのこと。 開業医は内科なら1日3人患者が来れば成り立つなどと言われていた時代である。 そこは外科のドクターの医院であったが、外科は怪我や外傷の人はそれ程来ない。 高血圧や高脂血症など定…

症例 5 88歳 男性 重い認知症 でも一家の大黒柱

Oさんは発熱のためケアマネジャーが連絡してきて受診した。 奥さんに先立たれ息子さんと二人暮らしをしている。 軽い脱水&尿路感染と診断され点滴治療のため入院となった。 そして発熱と環境変化の影響もありひどいせん妄状態(何が何だかわからない状態)とな…

症例 4 67歳 男性 ALS突然の発症

今日は空から寒そうな白い雲が垂れ下がって今にも雪がちらつきそうだ。 急に冬が近づいた気がするそんな日はNさんの事を思い出す。 もう7〜8年前になるかなぁ 私が内科病棟に勤務していた頃患者さんとして入院してきた。 どこにでもいる普通の人の良さそうな…

症例 3 89歳 女性 虐待による顔面打撲

Mさんは顔面打撲、右目周囲の主張と皮下血腫で入院してきた。 近くに住む娘さんがMさんに会いに行くと右目の周りが腫れ紫色になっており慌てて病院に連れてきたそうだ。 患者Mさんは長男夫婦と同居している。 会話は少しゆっくりだが理解でき、コミュニケー…

自分の寿命は自分でわかるのか?の件

随分昔の事だが今でも思い出す事がある。 まだ3年目の外科病棟に勤めていた頃の話だから多分30年近く前 その頃は乳がん健診なども今ほど普及していなかった。 したがって早期の乳がんは少なく自分で気がついた頃には転移していたり結構おおきくなってしまっ…

症例2 86歳 女性 軽い認知症

Iさんはご主人と二人暮らし お子さんはいない。 軽い認知症があり、普段はご主人が介護して暮らしていた。 そんなある日ご主人が電球交換の際イスから落ちて転び、腰部圧迫骨折と診断された。 ご主人は他院へ緊急入院、 そしてIさんも介護する人がいないため…