崖っぷち看護師長の孤独。。

もうすぐ還暦、看護師長のポロポロ雑記ブログです。

症例7:50代 男性 日本刀で斬られて救急車 耳はくっつくのか?

新人の頃

耳鼻科外来に勤務していたので外来の当直制の救急当番があった。

 

その日は頼もしい大阪のおばちゃん風の副看護部長との当直だった。

 

真夜中

日本刀で背中と耳を横にスパッと切られたそっちの筋の人が運ばれてきた。

 

反社会勢力の組織が多い地区からだった。

 

多分かなりお酒も飲んでいるようで暗赤色の血とアルコールのすえた臭いが充満していた。

 

酔っているのか痛みはあまり感じないようで

「背中が熱い!」と言っていた。

 

 

当直の外科のドクター、また院内に残っていた先生方が集まってきた。

 

まだ新人だったので、患者のバイタルなど全く覚えていないが、心臓や内臓に達するような傷は無さそうだったと思う。

 

とにかく出血は多く、入院になり、緊急オペの準備に入った。

自分はどう動いていたのかも定かではないがとにかく大勢の先生方が集まってきて、あれよあれよという間にオペ室へ運ばれていったと思う。

 

それから耳鼻科の先生も呼ばれて来たようだ。

 

患者さんを送り出して一息ついたが、あの血の匂いは身体中に染み付いて、忘れられなかった。

この経験をしたおかげでその後もとにかく血の匂いには敏感になった。

 

またその当直が明けた朝、その頃は職員食堂で朝ごはんが食べられたのだが、その副看護部長は平気でパクパクと食べていた!

すごい!

さすが経験豊富なベテランナース、これしきのことでは動じないんだ!と尊敬した。

 

 

数十年経って今の私は平気で食べられるかもしれない。成長しているのだろうか?

 

1ヶ月後に耳鼻科外来にその患者さんが通院して来た。耳介の真ん中あたりで横一文字に斬られて耳半分が取れそうなくらいだったのにとても綺麗に再生していた。

耳は軟骨なのでくっつきやすいのだ。

良く見なければ傷もわからないくらいでビックリしてまた耳鼻科の先生を尊敬した。

 

今年はラグビーが流行ってテレビ放送もよくされていたが、結構耳が潰れている人が多かった。

やはりスクラムやタックルで変形してしまうのか。

軟骨部分にぶっかって、血腫ができ、繰り返すうちに肥厚したり、変形するらしい。

良く見ると耳って変だよね。

 

でも音を聞き取るには今の頭からはみ出した形が最高なんでしょうね。

 

また何か熱いものに触った時に

「あちっ!」と耳たぶを触る=昭和の反応

が示すように身体中で一番冷たいという事もまた面白い。

 

不思議な器官である。