崖っぷち看護師長の孤独。。

もうすぐ還暦、看護師長のポロポロ雑記ブログです。

ジャンセンのレプリカを贈ってくれた先輩ナースの思い出

今日はクリスマスイブである。

 

ちょうど雪も積もりホワイトクリスマスになった。

 

子供の頃は嬉しかった雪も大人になるとすぐに「仕事行くの大変だなぁ」と思ってしまう。

 

こんな寒い雪の日にはW先輩ナースのことを思い出す。

 

彼女とは私が35歳の頃

パートで外来ナースをしていた病院で一緒の職場になった。

 

その頃の私は子育てが中心の生活で時間に追われていた。

9〜16時のパートで、終わり次第小学校の隣の児童館へ長女を迎えに行き、保育園に回って次女を連れて帰るという流れで生きていた。

 

彼女は20歳も年上だったが、黙々と仕事をこなし、休憩で話をすると考えが似ていたり、可愛いところもあるなんか気の会う先輩だった。

 

いろいろ子育てのことや、生活の事を相談したり、親しくしていた。

 

そんなある日彼女は

「どうも乳房にしこりがあるみたい」と外科を受診した。

細胞診など検査して、地区の大きな大学病院へ紹介され、その後その病院で手術を受けた。

 

無事手術を終えた彼女の面会に行った事を覚えている。

 

彼女の療養休暇中に私も妊娠を機会にその職場を辞めた。

 

その2年後私が新居を建てた時に自宅までお祝いにやってきてくれた。

 

その時、このブログに使っている写真のジャンセンの絵のレプリカを新築祝いに持ってきてくれたのだ。

 

長野県の安曇野にあるジャンセン美術館に行った時に買ってきてくれたらしい。

 

とても気に入って玄関の壁に早速飾った。

 

その2年ほど後、

「入院している」と聞き大学病院にお見舞いに行った。

下肢がパンパンにむくんで苦しそうだった。

当たり障りのない話しかできずに帰ってきた。

きっと彼女自身も死期が近いことを感じていたのだろう。

 

亡くなった知らせにご自宅までご焼香にあがらせてもらった。

車で40分もかかるちょっと田舎の町で、市街地より雪が積もっていた。

はじめて旦那さん、娘さんに会った。

和風の落ち着いたご自宅だった。

そういえば娘さんもご結婚が決まったと言っていたっけ…

 

お葬式は辛いものだった。

 

数年後安曇野のジャンセン美術館にいくことができた。

本物は素晴らしく、本当に感動した。

 

少し暗い色使いの絵が多いのだが、寂しいとか辛いとかの暗さは感じず、ただただ静かな凛とした強さを感じるのだ。

 

それは彼女の印象とも重なっている。

 

あれからもう20年近く時が経った。

 

私も彼女の歳を超えた。

 

我が家の絵を見て時々彼女を思い出し、

" 亡くなってからご自宅に行くのではなく、入院してから会うのではなく、

なんかもっと会えば良かった、話をすれば良かった" と後悔している自分がいる。

 

そして今なら彼女とも少しは気の利いた会話ができるのではないか、と思えるのである。