症例 16 60台 男性プライド高いおじさんの逆ギレ
大さんは慢性心不全の悪化で入院してきた。
体格の良いおじさんである。
最近歩いたり動くと苦しくなっていたが我慢していたようだ。
奥さんがおっしゃるには
「おでこや背中が汗びっしょりになっているのに『病院行ったら』と言っても全く人の言う事を聞かない」そうだ。
当然のように個室希望された。
入院と同時に心電図モニターをつけ、強心剤と利尿剤の治療を始めた。
モニター上心拍が140以上になることもあり、かなり心臓に負担がかかっている状態だ。
入院してから2〜3日後奥さんが荷物を持ってきた。
現在当院では全面面会禁止になっており、荷物の受け渡しはナースステーションでお預かりして、スタッフが患者さんの部屋まで届ける事になっている。
スタッフが荷物を預かり持っていくときにお菓子の袋が見えたそうだ。
ご本人のところで
「心不全の治療中で食事制限もあるから差し入れはダメですねー」と話すと
「あると食べちゃうから持って帰ってもらう」とおっしゃったのでお菓子を取り出した所その下に電子タバコが見えたそうだ。
その途端患者さんの顔色が変わった。
そして急に怒りだし💢
「人の荷物を勝手に触って泥棒じゃないか!」
と、興奮して怒鳴り出し
「もう2度と顔を出すな!」とまで言われてしまったそうだ。
ナースステーションで報告を受けしばらくしてから病室へ行ったみた。
「モニターで脈が速いようですがいかがですか?」と訪室すると
「今嫌な事があって怒ったからだ。」
とその事件について語られた。
「人の物を勝手に開けて取り出すなんて泥棒だ。私は30年警察官👮♀️だった。かりに荷物の中に危険な物が入っていても勝手に見て取り出すことは失礼だ」とまだ興奮気味であった。
しばらくお話を聞き、
「人の物を勝手に触って取り出したことは確かに失礼な事ですみませんでした。私が師長なのでスタッフには指導します。以後失礼な事は無いように注意します。」
と対応して納得してくださった。
電子タバコについては特に触れなかった。
主治医に報告もして診察を依頼した。
久しぶりのクレーム対応である。
スタッフも高齢の患者さんが多い中、対応がフランクになりすぎてしまったようだ。
本人はかなり反省していた。
電子タバコに関しては持っていても現行犯でなければ注意もできない。
おまけに火を使って失火や副流煙が問題となるタバコとはまた違って電子タバコはなぜいけないのか?と聞かれると明確に答える事ができない。
他の病院ではどうなのだろうか??
また調べなければならない事ができた。
後でネットで情報を見てみよう。
とにかく真面目な人ほど自分の行いを指摘されるとプライドが高い分逆ギレしてしまうと言う典型的な症例であった。
補足:ネットで調べたところ電子タバコも副流煙より細かいエアロゾルで周囲にも影響があると明記されていた。
やはり禁止すべきものである。