カーテン越しの声 私の知らなかったこと
カーテン越しの声
手術1日目
4人部屋である。
まだ起きられず体も動かせず、周りの声だけ聞こえてくる。
その分声に敏感になる。
3人ともとても声に張りがあり、若々しい。
そして会話も元気だ。
どんな方々なんだろう、と思っていた。
昼食になり起き上がることを看護師にすすめられ、はじめて起き上がってみる。
なんとかふらつかず起き上がり、座ることができた。
全がゆ・・少しずつ食べられる。
手術部分は思ったより痛くない。
たべ終わると下膳や歯磨きにみなさんは動き出す。
そして同室者との初めてのご対面!
え?え?
あんな若々しい声なのに・・・・ こんなに高齢者????
多分80代
90に近いかも…の方も
あまりジロジロ見れないし・・・
本当にびっくりした。
声と姿が一致しない!!
そして整形外科(膝・股関節の人工関節置換術のオペ患者)はこの年代の方のなんと多いことか!
また95%位が女性である。
みなさん高齢化に伴い身体(特に関節)を酷使してきて、
「まだ10年は元気で歩きたい!」とオペを決意されるようだ。
私が勤務する病院は高齢者の患者さんが多く介護が必要でサービスを使っている方が多いので、世の中にこんなに元気な高齢者がいることにビックりした。
私の隣の患者さんは70代だったが
「ゴルフ行くのに股関節と膝が痛かったんだけど、ゴルフ友達が手術して良くなったから2箇所一緒に手術するんだ」と話しておられた。
私は膝の靭帯を高校生の頃に切ってしまい、歳を重ねてから痛みが出てバレーもゴルフも10年程前にやめた。
でも手術すればまたゴルフできるのかな・・とか、
ずっと我慢してきたけれど手術すればまた違う世界が開けるのかなあ・・とか
本当にカルチャーショックを受けた。
私は骨折で予期せぬ手術になってしまったけれど、なにか人生を見直す機会を与えられた気がした。
またスタッフの方々の声もカーテン越しに聞いていると、
どこかで聞いた声、〇〇さんとそっくり、
と思うほど知り合いに声の似ているナースがいて、また話し方もそっくりなのだ。
外見はどうかな、と思って見ると全然似ていなくて面白かった。
世の中には7人自分に似ている人がいると言われているが、スタッフの中でも〇〇さんに後ろ姿がそっくり、と思う人が3人はいた。
似た感じの人って好みが似ているのか髪型が似ていたり、患者に対する話し方が 同じだったり、歩き方が似ていたり・・
いろいろと面白い発見があった。
そんなこんなで同室者とも少しずつ話をするようになった。
年齢層は違ってもいろんな話ができた。
患者となって過ごす病院生活もちょっと楽しめるようになった。