崖っぷち看護師長の孤独。。

もうすぐ還暦、看護師長のポロポロ雑記ブログです。

症例 23 103歳 尿管結石

103歳のヨナさんは施設に暮らしている。

近所に住む長男夫婦が面倒を見ていて時々会いに行ったりしている。

 

ヨナさんはほとんど寝たきりだが、頭はしっかりしていて、ご飯もご自分で食べ、むせたりすることもあまり無い。

 

ここ数年は、腎臓〜尿管結石がいくつかあるので、尿路感染を起こし、高熱が出て、その度施設から救急車で運ばれてきた。

 

先月も高熱でハァハァと息も絶え絶えになり、入院した。

抗生物質の点滴と補液で効果があり、またご飯もご自分で食べられるようになった。

しかし体力は病むたびに落ちていく。

 

リハビリを継続し、退院調整をしているうちにまた熱が出た。

やはり尿管結石が残っているのでどうしても感染をおこしてしまうのだ。

 

再度抗生物質と補液を開始。

2〜3日で解熱し症状も改善した。

 

そして主治医が長男夫婦にICをして、退院の相談をした。

 

ヨナさんは何年も施設にいるので帰りたがっている。また長男夫婦の希望も最後は施設で過ごさせたいという事であった。

尿管結石が残っている以上感染を繰り返すのは想定内。もちろん超高齢でもあり感染を起こせば命取りになることもある。

今後は入院はしないで、施設医に抗生物質を処方してもらい内服治療し、効果がない場合看取りとなる、という事も理解されて退院する事になった。

 

103歳だからというわけでは無いが、入院していても尿路感染をくりかえしてしまうのだから、逆に言えばどこにいても同じという事になる。

たぶん抵抗力や体力が落ちているのだろう。

あとは本人の生命力、寿命の問題。

どうしようも無い部分もあるのだ。

 

そうして次の週に退院が決まり無事退院して施設に戻っていかれた。

 

それから10日後。

土曜日の夜、また救急車で運ばれてきた。

高熱でまたハァハァしている。

 

しかしこの前の話し合いはなんだったのだろう。。

 

施設で熱が出たので抗生物質を飲ませたが、翌日も苦しそうで、夜になり施設医がいないから、救急車を呼んだのだろう。

 

施設のスタッフの気持ちもわからないでは無いが、なにか割り切れない。

 

高齢者は、ご家族も理解されているのに、静かに亡くなる事もできない。

また死に場所も選べない。

 

こんなケースはよくある。

 

入院中アドバンスケアプラニング( ACP) などと言って他職種とカンファレンスをしても、実行するには大きな壁があるのだ。。

せっかく退院時サマリーを渡しても伝わらない事がたくさんあるのだ。

 

たぶんヨナさんも数日で回復してまた施設に戻っていくのだろう。