崖っぷち看護師長の孤独。。

もうすぐ還暦、看護師長のポロポロ雑記ブログです。

点滴が入らないと看護師としての自信が持てない

新人教育をしていて、思うこと。

 

新人教育の一環で点滴の練習をするのだが、初めから結構上手に血管確保ができる人っている。

思い切りが良いのか、器用なのか、遠慮しないのか、、、

 

点滴、採血は手技の他に、経験がものを言う行為だ。

血管の太さは1人1人違い、年齢や動脈硬化により針を刺した時の感触も違い、口でうまく説明できない部分もある。

 

実際針を刺してみないと、血管壁を刺す感覚や、血管に対する針の太さや、血管の強さ・脆さなど、見た目だけでは判断することはできない。

 

私もいわゆる持続針を刺す事が苦手だった。

 

新人の頃は耳鼻科外来にいたのでやたら小児の採血とアレルギー検査の皮内注射ばかり上手になった。

その頃はまだ、持続針挿入はドクターの仕事でだいたい研修医が担当していた。

 

妊娠、出産で一旦退職してから、10年後に私立の病院にパート勤務した時、スタッフがみんな普通に何事もなくエラスター針を刺しているのを見てめんくらったことを覚えている。

 

急患が来るとさっさと看護師が点滴確保して、採血までしているのだ。

 

そこから試練が始まった。

特に急変時は点滴確保が困難で、なかなかうまくならない。

そして、通常時の点滴もトンボ針は上手くできるのに、持続針になると刺しすぎてしまったり、途中から漏れてしまったり、焦るばかりで、コツが掴めない。

上手な人の手技をみて習うのだが、全く自信が持てなかった。

 

結局その時は外科外来担当になり、点滴を刺す機会はほとんどなくなり、コンプレックスもいつの間にか忘れた。

 

その後病棟勤務になってから、また点滴をする機会は毎日のようにあり、点滴係になると嫌だなぁと思っていた。

点滴がうまく入らない時は、看護師としての資質を全否定された感じでかなり参ってしまい、でも点滴は単なる一つの手技で看護師の本質はそんなことではない、と自分を慰めて、なんとか働いていた。

初めは恐る恐る、でも1回うまく行くと少しずつ自信が持てるようになり、何回も実践することで、スキルが上がり、苦手意識もだんだんに無くなった。

 

新生児室勤務の頃は赤ちゃんの可愛いぷくぷくの手を見ると、つい血管を探してウズウズするというへんな趣味までついてしまった。

 

そんな経験を踏まえて、新人で血管確保がうまくできない人には

それが全てではない、と言うことと、あせらず何回も経験すればきっとできるようになる、と言うことを伝えるしかない。

そして練習用として腕を差し出すのだ。

 

初めから点滴が上手な人は本当に羨ましいと思う。