症例20・21 胆管癌判明の70代男性2人
春先から何故か胆肝系の患者が増加している。
胆石発作からの胆管炎からの膵炎、膵臓癌まで原疾患は様々だが、緊急ERCPを実施して原因を探ったり、処置したり。。
本当に何例も行ってきた。
実際統計を見てみると胆道系の内視鏡は今年の4・5月は前年までの数の5〜6倍となり過去最高数となった。
以前のブログでも触れ、どうしてだろう、なんて思っていたが、しっかりデータにもあらわれてきてので、やはり統計ってすごいなぁと実感した。
数字に現れると説得力がある。
今回はそんな中、急な黄疸で近医から紹介された患者の事について報告する。
2人とも70代男性。
どちらも農家で、ある意味一家の大黒柱。
Aさんは息子と農業に従事し、歳をとってからは孫の面倒を見て働きに出る嫁を支えてきた。
優しいおじいちゃん、まだまだ元気で孫を遊びに連れて行ったりしていた。
Bさんは社会的にも現役で地区の責任者を務め若手の育成に力を入れていた。
娘家族とも仲良く暮らし、一家の決定権を握る頼もしい主人である。
始まりはよく似ていた。
どちらも倦怠感・食欲不振があり、そして割と急激に黄疸が目立つようになり、近医を受診した。その結果、精密検査目的で当院に紹介されてきた。
外来検査で肝機能検査の異常値、CT・造影検査などで癌を疑われ、入院となった。
入院後緊急ERCPで胆汁のながれをよくし、どちらも胆嚢から膵臓にかけての胆管癌と診断された。
Aさんは転移も無さそうで手術ができる段階と見られ術前準備も始まった。
ちょっと安心していたところなかなか黄疸の数値が下がらない。
胆汁停滞がみられ、数回に渡りERCPを実施し、ステントを入れたが、胆汁が濃くて排出も少なく、経鼻でドレナージまでしたが、はかばかしくない。
そのうち嘔吐も🤮出てしまい、食事が取れずどんどん衰弱していった。
画像で確認できるより癌は進行していたようである。
数週間で看取りのため訪問看護をいれ、在宅に退院して行った。
Bさんは" 手術はできない、余命半年から1年" と宣告されたが、経過も良く、金属のステントを入れ退院し、外来で抗がん剤治療を続けている。
先日会った時には「癌がきたぞ〜」と少し痩せたが元気そうに笑っていた。
「まだまだやる事があるから頑張らなきゃいけねぇ」とおっしゃっていた。
ほとんど同時期の発症だが、全く違う経過をみて、なにか医療だけでは計り知れないもの、寿命とか生きる気力とか癌と闘う気持ちとか、、
いろいろ考えさせられた。
そして本当に一人ひとり違うから、それぞれ真剣に向き合い、状態に応じて柔軟に、より良い看護・ケアを考えて行きたいと強く思った。
コロナ感染者受け入れと一般患者受け入れでいっぱいいっぱいの毎日
新型コロナウイルス感染者が徐々に増えてきた。
まさしく第4波が地方にも広がりつつある。
今回は変異株なのか感染力が強く、高校で県外への遠征試合後に数人が発症し、その後10人規模のクラスターとなった。
そしてその家族、兄弟姉妹へと広がった。
今までより家庭内での感染の確率が高く、感染力が増している印象だ。
軽症者は宿泊療養施設に入所するので、第3波より入院患者はゆっくり増加している。
また以前より体制が整い、新型コロナウイルス感染者を受け入れる病院も増えた。
しかし一方、感染部屋の数だけ入院できるベッド数は減っているのだが、一般診療もオペも緊急当番も通常通り機能しており、急性期病棟が大変な事になりつつある。
予定の入院患者もいるため、毎日ベッドコントロールに頭を悩ませる。
毎日朝から頭の体操である。
最近発刊された神様のカルテの著者夏川草介さんの新刊「臨床の砦」を読んだ。
新型コロナウイルス感染者を受け入れている病院の現状がドキュメンタリーでつづられている。
世の中のどれくらいの人たちが真剣にこのウイルスの事を考えているのだろう。
なにか行政も全くお門違い。そして受け入れ病院以外の病院ですらどこか他人事である。
一般の人たちもきっと自分は感染しない。
感染しても治してもらえるだろう。
と考えている。
テレビなどでも、重症から生還した人の話や、ドクター・看護師のコメントなど放映しているが、もうみんな見慣れてしまった?のか、どこかテレビの中の話📺という空気感だ。
これでオリンピック、パラリンピック。
ドクター・看護師派遣。
そして今度はワクチン接種に借り出される。
7月末までに希望する高齢者全員接種とな、、、
いつまで続くの??
いつになったら一息つけるの??
なんか先が見えない毎日に、時々とても疲れる。
地方の田舎の病院でもこうなのだから、都会の病床逼迫率が高い地区ではどうなっているのだろうか?
とにかく院内感染をおこさず、基本にもどり、一日1日、目の前の仕事にそれでも心を込めてやっていくしかない。
その先には平和な毎日が待っているのだろうか??
今日はなにか悪い方に考えてしまう。
お風呂にゆっくり入って、また明日からのために早めに寝よう。
そしてまた忙しくても落ち着いて、声を掛け合い、一つ一つ確実に仕事していこう。
全てがチーム医療なのだから。。
なぜか多い胆管系の炎症にて緊急ERCP
なぜだろう??
連休前からなんとなく感じていた。
発熱や腹部症状で外来受診し、採血結果で胆道系の炎症所見があり、入院後緊急にERCP(内視鏡的逆行性胆道膵管造影)をする患者がここのところほとんど毎日のようにやってくる。
症例はさまざまで胆石が悪さをしており、内視鏡で十二指腸乳頭部切除や砕石術を施行した患者、
急激な黄疸を伴い、ERCPで癌が見つかった方、また癌や炎症のために胆汁を流れるように入れていたステントが詰まり気味で入れ直しが必要になった方。
いろんな症例なのに連休前からズッーっと緊急ERCPが必要な患者が続いている。
先日は1日に3例もあった。
内視鏡で施行するのだが、手術と同じで術後の管理は気を使う。
胆汁は肝臓で作られ、胆管を通り、胆嚢でたまり、十二指腸に流れる。胆嚢のすぐ近くには膵臓があり、炎症が広がると膵炎を併発する場合もある。
また逆に膵臓癌で胆道を圧迫する場合もある。
膵臓の場合はインシュリンを作ったり、排出したりするので重篤になりやすく、治療も濃厚だ。
そんな患者が次から次へと本当に不思議なくらい入院してくる。
実際金曜日にも1例無事終わったのだが、日曜日にはまた新規の方が入院して月曜日に緊急ERCPがはいった。
昔外科にいた頃は春( 5月頃) はいわゆる盲腸がはやりやすく、「暖かくなって腸も腐りやすいのかねぇ」なんて言っていたが、今年は胆道系ばかりが多い。
今回は「春の山菜の天ぷらのせいかねぇ」なんて言っている。
春の山菜の天ぷらはタラの芽とかコシアブラ、コゴミなど確かにちょっと苦味があってとっても美味しいのだけど、アクがたまりそうな気もする。
そんなわけはないのだろうが、とにかく不思議な現象がおきている。
もう一つ目立つのが、小児科の入院。
小児科の入院と言えば、感染症( 呼吸器・消化器) か喘息か痙攣である。
新型コロナウイルス感染防止でうがい、手洗い効果か、感染症の入院はあまりない。
喘息などアレルギー疾患は内服薬・吸入薬などがかなり研究され入院が必要な患者はここ数年かなり減ってきた。
しかし今年は喘息で入院する子が増えている。
今年は冬から春先の寒暖差がかなり大きくなり、そんな気象のためか昨年の2倍くらいいる感触だ。
また繰り返す患者も多い。
そんなこんなで急性期病棟は今日も大忙しである。
少しでも業務改善・.他職種連携ができるように、非力ながら、日夜考えている。。。
看護師の言葉ってやっぱり一般人には理解不能
我が家の娘が親知らずを抜くことになった。
ここ数年、なぜか特に冬場になると歯肉が腫れて物が食べれない程病んでいた。
歯医者で診てもらっても虫歯ではないらしく処置もできないのでひたすら痛み止めを飲んで耐えていた。
ストレスで抵抗力が落ちると発症するのか、予測不能で仕事にも支障があり、今回親知らずを抜く決心をした。
経験者の話によるとすごく痛くて凄く腫れるらしい。
そして開業医では1本ずつしかできないそうで、いろんな情報をみて、大学病院に入院して4本同時に抜歯する事にした。
採血や医者が嫌いな娘が自分で決断したので、なんとか無事に痛みも少しでも軽くすむと良いなぁと祈っている。
先日手術の説明を聞きに行ってきてからの話
「手術の時はマニュキュアとってこいと言われたけど、自分で塗った薄い色なら良いかなぁ、」と言うので「酸素濃度は指で見るからとっていったほうが良いよ」と言うと「それならちゃんと理由言わないと、わかんないよ」と指摘された。
「化粧も薄くなら良いの?」と聞かれたので「具合悪くても顔色わかんないし、緊急事態で挿管する時も化粧品でベタベタしてたらやりにくい。だいたいオペ室は清潔区域で医療者だって丁寧に手洗いして、滅菌でやらないと感染起こしたらたいへんだし、余計な物はつけて行かないほうが良いよ。」と答えた。
すると彼女は
「なんでちゃんと理由まで教えてくれないの?
こうしろああしろばかりで、職務怠慢じゃん!」と怒っていた。
そんな事今まで考えたこともない。
なんか常識でしょ、と思っていたから、いちいち理由を説明してないと思う。
今はテレビでも医療系のドラマも多く、オペ室への入室の儀式みたいな事はある程度知っているのかと思った。
でもまだまだ医療者の常識は一般の方には、理解不能なんだなぁ、と実感した。
はたまたうちの娘が無知で理屈屋なのか・・・
たぶん医療者の常識は世間一般の人とは大きな隔たりがあるんだと思う。
近年は看護倫理などで、倫理観について勉強したり、クレイマー対策や苦情について改善したりしているが、まだまだ医療者側の勝手な常識が残っているのだろう。
なんかもう一般の常識がわからなくなってしまう。
こちらの押し付けではなく、患者の立場に立つということは本当に難しく、永遠のテーマなんだと再認識した。
ついにリハビリ卒業!!
退院してから3ヶ月目の診察。
手術後約4ヶ月。
本当にここ1ヶ月で大分自信がついた。
膝に力が入るようになり、少しの踏ん張りはできるようになった。
平な道は大丈夫だよ。
まだ長い距離歩くと足全体が痛くなったりはするけど、仕事中も病室まで患者さんをみに行ったりする事がスムーズにできて、苦じゃなくなった。
でもまだまだ安心はできない。
今日天気が良くて受診のため休みをとったので午前中は買い物して自動洗車機で洗車もした。
洗車後後ろのハッチを開けようとして開かなくて、危うくバランスを崩し転びそうになった。
こんなところで転んでまた骨折なんて笑えない!
なんとか踏ん張れた!
良かったぁ〜
前回の転んだ場面が走馬灯のように頭を駆け巡ったよ。
後になってジワリと恐怖心がやってきた。
本当に転ばなくて良かった!
もっと筋力つけないと、、、
今日はリハビリもあって関節の可動域をみてもらい、筋肉をほぐしてもらった。
今困っていることは階段の降りる時くらい。
あとは脚を使っていくしかないかな。
そしてついにリハビリ卒業となった。。
このリハビリ室ともお別れ。
ちょうどお世話になった方もいたので挨拶できた。
なんかちょっぴり寂しいけれど、やっぱり入院生活って非日常で本当に自分がここにいたのかと不思議になる。
なんか実感がないと言うか変な気分。
上手く言い表せないけれど、、
とにかくあとは自分でしっかり身体をメンテナンスしていかなければいけないんだなぁと思った。
そして今日の担当の方に
「何か運動してますか?」と聞かれ、へ?となってしまった。
運動して良いの?
そんなところまで気持ちいってない!!
まず階段が課題なのに・・・
でもなんか目が覚めた。
もっと先を見越して筋トレとか歩くとか。
またジムも行こうかなぁ。
もっと良くなったらゴルフもできるかな??
なんか目の前が明るくなったよ。
一歩一歩も、大事だけれど、安全策だけでなく、鍛えるとかちょっと無理するとかもありなんじゃない?
大事にし過ぎたかも、ってちょっぴり思えた。
みんなに無理しないでなんて言われて甘えてたかも。
定年まであと11ヶ月。
ちょっと無理してでもしっかりいろんなことやって行こうと、思えた。
明日からまた新型コロナウイルス対策で変異株が増え、若い人の感染者も多くなり、感染病床も増やして対応することになっている。
前向きに少しでもスタッフが働きやすいようにマネージメントしていこう、そう思えた休日でした。
ワクチン接種2回目 結構多い副反応
1回目の新型コロナワクチン接種からもう3週間がたった。
この間にちょうど年度末で退職者・入職者でスタッフが入れ替わったり、年度末のまとめ、次年度に向けていろいろやらなければならない事が多く、あっという間に過ぎてしまった。
そして日常の続きで新しい気分になることなく、2021年度は始まった。
新鮮な気持ちでやってきてくれた新入職の方の辞令交付・迎える会で1人1人のちょっと緊張した表情・スーツ姿を見てだんだんに新年度の改まる気持ちが芽生えた。
何か忙しいまま新年度に突入したが、この機会に気持ちを引き締め、また新しい目標に向かって進んでいこう。
そして新人が研修を終え各部署に配属になった。
それとは関係なく新型コロナウイルスのワクチン接種2回目もやってきた。
また1回目の摂取順で予定通り接種が始まった。
しかししかし、ワクチン接種後のアナキラフィシーショックこそなかったが、副反応が強く、1回目より発熱者が続出した。
若い人の方が反応が強いのか副反応が強いと言うが、若い人でも平気な人はいるし、ベテランナースでも39度まで発熱した人もいる。
私自身は1回目より痛くなかった。
ちょっと目がクラクラしたがそれ以上悪化はしなかった。
摂取される時に腕をダラーんとして筋肉を柔らかくして受けた方が痛くならないらしい。
これもたしかではないが、、、
ワクチン副反応の公表データでも2回目の方が発熱者3割以上となっている。
ある部署はほとんどのスタッフが発熱して勤務に支障をきたすようになり、看護部全体で応援体制をとった。
他の病院では発熱を抑えるためにワクチン接種時にカロナールを処方するなど対策をしていると言うことも聞く。
しかし我が病院は特にコロナ持ち込みを警戒しており、37.5℃以上の発熱の場合必ず発熱外来を受診してから職場復帰するというルールに決まった。
そうなるとこれだけ発熱者が多いと本当に勤務が成り立たない。
接種の翌日は休みか日勤になるように勤務を作ってあったが、流石に2日目は勤務になってしまう。接種後発熱しても夜勤にかぶらないように逆に接種日を後送りにして対応した。
本日で全員2回目の接種も終わるので
この土日がやりくりできればなんとかなる。
幸い週末は手術もなく、病室も空床もあるので普段より少ない勤務者でも乗り切れるだろう。
ほんとに新型コロナウイルスに関しては初めての事でやってみなければわからないことも多く、先を予測する力、また、予測できた時点でできる対策を取ると言う柔軟な体制はとても重要なことだと実感した。
そして第4波。
今のところ若い世代の感染者が多い。
宿泊施設での経過観察で対応できているが、またクラスターが発生すればすぐに医療も逼迫するだろう。
住民にワクチンがいきわたるのにはまだしばらく時間がかかる。そして副反応での受診や電話問い合わせなど雑多の仕事が増える事は目に見えている。
もう1年以上経ったのにまだまだコロナの対応は続くだろう。
ワクチンを接種できて少しは心強いがまだまだ先が見えないし、
〜いい加減つかれるよなぁ〜。
やっと少しずつ一人前になってきた??
手術して3ヶ月。
職場復帰して1ヶ月が過ぎた。
始めは少しの坂や、段差も怖くて恐る恐る歩いていた。
病院の中に入ってしまえば、あとはフラットなフロアーで手すりもほとんどの通路に付いているのでまず転ぶことはない。
とにかく駐車場から更衣室で着替え、渡り廊下を通り、○階の職場まで行くことが大きな仕事だった。
そして1ヶ月の間に筋力はだいぶ戻り、膝の腫れもとれ自分の足になってきた。
1番の有効なリハビリは仕事復帰だった。
仕事をはじめると、歩く機会は抜群に多くなる。1日1日筋力が戻り、膝の動きもコントロールできるようになった。
復帰当時は" まだ復帰したばかりだし、無理はできないよ〜" とどこかに甘い気持ちがあった。
でもいろんな場面に遭遇し、スタッフは気を使ってくれるが、自分で思い直して、仕事を始めた以上はそれなりに仕事できないとだめでしょ。と反省した。
通勤時も2週間で遠い駐車場( 段差、坂が結構ある) から歩くようにした。
そして膝に力が入るようになり、1ヶ月目からは階段も1階分は歩くようにした。
今まで足が痛くて数年ほとんど階段は使えなかった。
上ってみると、病院の階段はとても新鮮だった。
そんなに人通りがないからすれ違うとどちらかが一言かける。
私の場合は「大丈夫ですか?」が一番多く、
「だいぶ良くなってリハビリだよ」と返す。
そしてほとんど今までは話したことのないスタッフでもなんとなく話してしまう。
そういえばエレベーターでも同じ光景が…
でも何かが違う、!
エレベーター内では患者さんを連れていたり、すぐ着いてしまうから終わりは決まっている。
でも階段は1対1だし、必要ならば足を止めれば話す時間はとれるのだ。
なんか新鮮な階段すれ違い時のコミュニケーションは1対1で他の人の足音がしなければ立ち止まって話すこともできる、と言うちょっと秘密めいた共有の時間で親密感を増すのかもしれない。
春の訪れとともに、なんか歩くテンポも少しずつ戻りつつある。
何しろ今までの痛みはすっかり無くなったのだ!!
自主リハビリを続けて、階段をスタスタ昇降できるようになりたい。
せっかく手術したのだから、おまけに療養休暇もたっぷりもらったのだからしっかり職場にも貢献しなくちゃ、
という前向きな気持ちになれた。
階段の利用も増やして、地道に普通に歩けるように頑張ろう。